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趣味関連のおはなし

キャラソンからチノの成長を振り返る

このブログは東京大学きらら同好会 Advent Calendar 2022 - Adventar 4日目の記事です。

3日目の記事はkn1chtさんの誰でも小惑星探索できるソフトCOIASを導入して起動するまででした。5日目はK. 汝水さんの「「なるコティズム」解説 - 東京大学きらら同好会」です。

 

 

さっそくですが、本日12/4は何の日でしょう?

わざわざこれを読んでくださった方なら大方わかっているかと思いますが、ご存じ香風智乃さんの誕生日です。皆さんもこの曲を聴くなどしてお祝いしていることでしょう。

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ごちうさのキャラソンの魅力については東京大学きらら同好会のこちらの記事

utkiraracircle.hatenablog.com

で語られている通りですが、今回は視点を変えてみます。原作では物語開始から2年強の月日が流れておりチノも高校生になりました。この間の成長は目まぐるしく、ごちうさのストーリーの主軸のひとつと言っても過言ではありません。そこで、チノのエピソードや心情が描かれたキャラソンの観点から彼女の成長を紐解いてみましょう。曲を知らない方は是非聴きながら読んでください。

 

注意:この記事は『ご注文はうさぎですか?』10巻までのネタバレを含みます(アニメの範囲は7巻序盤までです)。万が一まだ読んでいないという方は今すぐに買いに行きましょう。どうしてもこの記事の続きを先に読みたいという優先順位も分からない方は最低限このボイスコミックだけでも聞いてください。その後で原作を買ってください。

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あねぢからちゃーじのシーンがかわいすぎる

 

まずは最初の頃のストーリーが盛り込まれた未来パズル」を紹介します。

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チノの成長を語るうえで欠かせないのが自称姉ココアの存在です。チマメ隊は中学入学当初からの仲ですが、ココアの登場によって関係が急速に深まったと言えます。その一例がお泊まり会で、”初めてのこと”であるとこの歌詞でも本編でも述べられています。こうしてマヤメグとより仲良くなる一方で、ココアのいない夜を寂しく感じたりココアと仲良くする二人に嫉妬する様子が描写されています。ココアを原因とするチノの心情変化が読み取れます(このようなチノのキャラソンは数多くあります)。明るい曲調から本人もポジティブに捉えていることが伺えます。

さて、この曲の特徴はサビとCメロのパズルになぞらえた歌詞です。1番のサビではココアとの出会いによって広がりだした世界を一緒に進んでいこうという意思を感じます。2番のサビではより多くの人に接したりいろんな物事に触れたりする経験への期待が表れています。実際後の話で木組みの街の人々やモカ、フユや神沙姉妹との交流、さらには卒業旅行を通じてどんどん成長していくわけです。ここで気になるのが”5年後は身長も伸びてるはずです”という部分です。1期4羽の好き嫌いしてたら背が伸びないという話がベースだと考えられます。しかし、「心配はいらないです。ココアさんと同じ年の頃には私の方が高くなってます」という発言を取り入れるならば2年後とするのが普通ですし音の点でも問題ないはずです。なのにわざわざ5年後、つまりチノが高校を卒業した翌年に設定するということは、その時期のチノたちを本編で描く伏線なのではないかと疑ってしまうのですが皆さんはどう思いますか?

Cメロのくだりも最初は抽象的なものとして聴いていましたが、3期までのストーリーを踏まえると捉え方は変わってきます。中学時代を共に過ごしたマヤメグと別の高校に通うことをバラバラになるパズルに喩え、いつもそばにいるココアと高校生活を送りパズルを作り直すと表現していると受け取れるわけです。この曲が発売されたのが2015年11月、文化祭の話が掲載されたのが2016年4月なので、Koi先生がこの展開を決めており歌に反映させたのではないかと推測できます。そして最後のサビでは高校生に成長したチノが、多くの人と見つけてきた”しあわせ”を大切にしながらココア(やフユ)と一緒にパズルを完成させていく=物語が完結に向かうのではないでしょうか?ちょっと待ってごちうさ終わらないで!

 

続いての曲は「あした元気になぁれ!」です。

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この曲も1期4羽で話題になったカフェ・ド・マンシーをテーマにしていますが、発売は2016年でアニメ2期とDear My Sisterの間なので、中3の頃のチノをイメージして作られたと思われます。いつもはココアに元気をもらうことの多いであろうチノが、逆に落ち込んでいるココアを特技のコーヒー占いで励ます構図になっています。Dear My Sisterで皆を花火に誘ったのと同じく、積極的に行動するようになったという成長を感じられます。

数あるチノ曲の中でも最大級に明るくてタイトル通り元気をもらえる歌で、個人的に一番好きなので是非聴いてください(この曲を取り上げた最大の理由です)。実際私も某試験がダメだった時にこれを聴いて慰められました。

 

3曲目は「ボトルシップの旅」です。

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アニメ3期放送直前に発売されたバラードソングアルバムBlend of Lettersに収められており、チノからココアへ宛てた手紙という形式になっています。チノ自身が大きく変化してココアに似てきたこと、ココアに連れ出された世界がわくわくで楽しいことが歌われています。ココアに似てきたことを否定できなくなっているところが、本編でたまに姉と呼ぶようになる描写と相まって感慨深いですね。手紙ならではの素直な気持ちが伝わってきます。特筆すべきは「今では進みたい方角も見えました」の箇所で、文化祭に行って進路を自分の意志で決めるところ(アニメ3期4羽)に繋がります。進学という人生における重大な局面のひとつで、マヤメグと離れてでも自分の「わくわく」する気持ちに従う強さ・成長を感じます。さらには木組みの街の外(ココアも外から来た)の世界にも興味を向けており卒業旅行編を示唆しています。

因みにこの曲と対になるココアからチノへ宛てた「わくわく魔法のチカラ」という曲もおすすめです。ココアの”姉力パワー”をひしひしと感じる良曲なので7巻の受験前の話と照らし合わせてみてください。これはもう誰がどう見ても立派な姉ですよ。

わくわく魔法のチカラ - song and lyrics by ココア(佐倉綾音) | Spotify

 

最後に扱うのはフユとのデュエット曲「チェスマッチカフェチェックオレ」です。

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チノの成長を語るうえでもう自称とは言わせない姉ココアの存在が欠かせないと言いましたが、その次に重要な人物がフユでしょう。チノの成長を再確認させてくれるキャラです。というのも、フユの性格がココアと出会う前のチノとそっくりだからです。ココアたちの影響でそれなりに外交的になったチノが今度はココアのような立場で寡黙なフユを引っ張るという、2年前と類似した構図が見られます。(初期のエピソードを彷彿させるシーンは高校入学後随所に見られます。)チェスをきっかけに知り合い、高校入学後もチェスで仲を深めた二人にピッタリの曲となっています。

ここで、アニメ1期1羽の21:07~21:56のシーンを観てください。音楽(特に冒頭)がこの曲に似ていませんか?このBGMは「ずっと一緒に」という曲で、ラビットハウスに下宿してきた初日のココアが木組みの街での生活への期待をチノに伝えるシーンに使用されています。「チェスマッチカフェチェックオレ」がこのBGMを踏まえて作曲されたのかは知りません。ですが、持ち前の社交性で仲良くなるココアとチノ/チェスで仲良くなるチノとフユという対比が表れていると思います。

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ここまで4曲のキャラソンを題材にチノの成長について考察してきました。奇しくもパズル・ボトルシップ・チェスというチノの元からの趣味を下敷きにした曲(←今気付きました)から様々なことを読み取れたかと思います。今後のチノの成長や活躍からも目が離せません。